西郷隆盛は犬好きだった?愛犬の名前は?犬種は?飼い始めた理由は何?
西郷隆盛1827年(文政10)~1877(明治10)は、薩長同盟を結んだり明治政府の基盤を築いたりした幕末から明治にかけて活躍した人物です。東京の上野公園で西郷の像を見たことがあるという人も多いのではないでしょうか?
その像は、西郷が浴衣姿で犬をつれている姿になっています。西郷隆盛は、大の犬好きだったのです。
この記事では、西郷がどのくらいの犬好きだったのかについて、銅像に一緒にいる犬の名前や犬種、西郷隆盛が犬を飼い始めた理由など細かく見ていきましょう。
目次
西郷隆盛は犬好きだった?
西郷隆盛の銅像はどうして浴衣姿で犬をつれている姿なのは、西郷隆盛が犬好きであったことと、さらにもう1つ理由があります。
西郷隆盛は西南戦争を指揮したことで、政府にたてつく反逆者というレッテルを貼られていました。後に、西郷の人柄を愛した明治天皇の意向や黒田清隆らの努力があって、大日本帝国憲法の発布に伴う大赦で名誉回復したのです。そこで有志たちが生前の西郷隆盛の功績を称えて銅像を建てようとします。
しかし、まだ政府内に残っていた西郷隆盛に対する反対勢力が、陸軍大将としての制服を着た姿の銅像を建てることを許さなかったのです。そのため、人畜無害なイメージを持ちやすい浴衣で犬を連れて散歩している姿の銅像となったのです。
ちなみに、西郷隆盛の妻であるイトはこの銅像を見たときに、
「うちの主人はこんな人じゃなかった。浴衣姿で散歩なんてしなかった」
といった意味の薩摩弁を漏らしながら腰を抜かしてしまったそうです。本来の西郷隆盛とは違うその姿に悔しさを覚えたのかもしれません。
私たちが目にした西郷隆盛が犬を連れている銅像は、本来の西郷隆盛の姿ではなかったんですね。。。
西郷隆盛の像と一緒にいる犬は薩摩犬のツン?
西郷隆盛の像と一緒にいる犬は、一般的には西郷の愛犬であった「ツン」だと言われています。
ツンは元々、薩摩川内市東郷町の農民 前田善兵衛という人の飼い犬でした。たまたまツンを見かけた西郷隆盛は一目惚れしてしまいます。前田にどうしても譲ってくれと頼み込んだそうです。前田は当然断るのですが、どうしてもツンが欲しかった西郷隆盛は、その土地の有力者を動かしてまでツンを譲ってもらったそうです。
それほど溺愛していたツンですが、このツンはメス犬です。しかし、銅像の犬はオスの薩摩犬です。
それはどうしてなのでしょうか?
実はこの銅像を作るときに、ツンが薩摩犬と洋犬の雑種だったこともあって、ツンと同じような犬種を発見することができなかったのです。
モデルがいなかったためツンを作ることができなかったのです。
そこで、西郷隆盛の故郷にゆかりのある薩摩犬をモデルに銅像を作ることになりました。
そこでモデルにされたのは、海軍中将となった薩摩出身の軍人 仁礼景範が飼っていた「サワ」という犬です。このように、西郷隆盛像のつれている犬は全く別の犬であったのです。
ちなみに、この銅像は1人ではなく、2人の合作となっています。
西郷隆盛の部分は高村光雲が作り、犬の部分はその弟子の後藤貞行が作ったそうです。
西郷隆盛が犬を飼い始めるきっかけはダイエット?
当時、犬を飼うことは狩猟の目的で飼うことがほとんどでした。しかし、西郷隆盛の目的は違います。西郷隆盛が犬を飼い始めたきっかけはダイエットのためでした。
西郷隆盛は、明治時代になり戦争する機会が減り政治が中心の生活になると、ぶくぶくと太っていきました。
西郷隆盛の好物は、脂ののった豚肉や鰻、イワシの刺身やカステラとのことなので、太ってしまうのも必然だったのかもしれません。
しかし、その肥満のせいで西郷隆盛は一度死にかけ、医者から「このままだと太りすぎて死ぬから、犬を飼って散歩でも始めなさい」と勧められました。これが西郷隆盛が犬を飼うきっかけとなったのです。
ダイエットのために犬を飼うって、なんだか西郷さんらしいですね。
西郷隆盛は犬と一緒に狩りに行っていた?
西郷隆盛は、狩猟も漁も好きで少年時代から暇なときには楽しんでいました。
また、医者に犬を飼うことを勧められてからは、どこに行くにも犬を連れて行っていたそうです。それは西南戦争のときも例外ではなく、戦場に数頭の愛犬を連れて行っていました。
しかし、西郷隆盛率いる軍は、新政府軍に追い詰められ食糧事情はどんどん厳しくなっていきます。
そのため、西郷隆盛は愛犬に自分の食料を分け与えたといいます。
そして、軍の解散を決意したときには、「せめて犬だけでも生き延びてほしい」と首輪を外して戦場から犬たちを逃してあげました。その後、西郷隆盛の犬たちの行方はわかっていませんが、西郷隆盛の犬への愛を感じることのできるエピソードです。
西郷隆盛は大の犬好きだった?
西郷隆盛は医者に勧められて犬を飼うことを決意しますが、飼い始めてからというもののどこにでも連れて行くほど犬を愛し始めます。そのため、西郷隆盛はツンだけではなく、他にもたくさんの犬を飼っていました。
西郷隆盛が飼っていたのはツンだけではなかった
西郷隆盛が飼っていたのはツンだけではありません。多いときには、20頭近くもの犬を飼っていたんだとか。そのほとんどは、薩摩犬だったと言われています。中にはオランダの犬もいました。
【西郷隆盛の愛犬の名前】
- ツン
- サワ
- シロ
- カエ
- ハヤ
- ツマ
- ブチ
- ユキ
- テツ
- トラ
- ゴン
- クロ
西郷隆盛は、わかっているだけでもこれだけの数の犬を飼っていました。
これだけの多くの犬を飼っているのは当時にしては珍しく、西郷隆盛が犬をつれて散歩していると、「犬がたくさん歩いているから、あれは西郷さんだ」とすれ違った人が気付くほどだったようです。
西郷隆盛は犬に鰻を食べさせていた?
西郷隆盛は鰻が大好物でした。
その鰻を鰻屋に食べに行った時の話です。
西郷隆盛は例にもれずそこにも犬を連れて行っていました。そして、こっそりと自分の分の鰻丼を犬に分け与えるのです。犬に与えることに夢中になりすぎて、時には自分の分がなくなってしまうことも…。
注文した鰻を犬に与えることを後ろめたく思っていたのか、西郷隆盛は代金を丼の下に置いて帰ることもしばしば。丼の下に置かれた代金に気づかなかった店主に、食い逃げと勘違いされてしまったこともあったそうです。
まとめ:西郷隆盛がダイエットがきっかけで犬を飼い始めた
西郷隆盛が犬を飼い始めたきっかけはダイエットでした。しかし、その後どこにでも連れて歩いたり、たくさん飼い始めたりと、どっぷりと犬にハマってしまいました。これほどまでに犬好きだったのなら、銅像に一緒に置かれていても納得してしまいますね。
今回の内容をまとめると、
- 西郷隆盛が犬を飼い始めたきっかけはダイエットのためだった
- 上野公園にある西郷隆盛像の犬はツンとされているが、実は別の犬がモデルだった
- 銅像は西郷隆盛の部分と、犬の部分は別人が作ったものだった
- 西郷隆盛は、西南戦争の際にも犬を連れて行っていたが、最後は逃してあげた
- 西郷隆盛は、多い時には20頭近くの犬を飼っていた
色々なエピソードを見ていると、西郷隆盛の犬好きは相当なものだったとわかります。しかし、犬を飼いすぎて西郷隆盛の家の中は荒れ放題だったとか。西郷のように色々と活躍した立派な人でも、犬の世話には手を焼いていたこともあるのかと思うと、親近感が湧いてきますね。